はじめに
「Dockerってよく聞くけど、実際にどうやって使い始めればいいの?」
そんな疑問を持っているLinux初心者の方や、これから開発環境を整えたい方に向けて、この記事ではUbuntu環境へのDockerインストール方法をわかりやすく解説します。
実際に筆者も初めてDockerを使い始めたときは、どの手順を踏めばいいのか、何を確認すべきなのかが分からず、何度かやり直すことになりました。この記事ではその経験を活かし、インストール手順だけでなく、インストール後にすぐやっておきたい「初期設定」と「動作確認」までを一通りカバーしています。
Ubuntu環境にDockerを入れて、確実に使える状態にしたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
Dockerとは?初心者向けにかんたん解説
Dockerは「アプリの実行環境を丸ごと1つにまとめて持ち運べる仕組み」です。
アプリ開発では、「他のPCで動かない」「環境構築に時間がかかる」「設定を元に戻すのが面倒」といった悩みがつきものです。Dockerを使えば、OSやライブラリ、設定ファイルなどを一つの“箱(コンテナ)”にまとめて管理・配布できるので、これらの問題をまるごと解決できます。
この仕組みにより、以下のようなことが可能になります。
- 開発したアプリをそのまま他のPCやサーバーで動かせる
- 複数のアプリや環境を1台のPC上で同時に動かせる
- 用途ごとに異なる環境を同時に立ち上げられる(例:DB2種類同時起動など)
- サーバーの構築やテスト環境をすばやく用意できる
- 必要がなくなったら簡単に削除でき、やり直しも手軽
仮想マシンよりも軽く、起動も高速なため、開発現場だけでなく趣味のサーバー構築や自動化にもよく使われています。
次の章からは、そんな便利なDockerをUbuntuにインストールする手順を解説していきます。
UbuntuにDockerをインストールする手順
UbuntuへのDockerインストールは、公式手順に沿って行えば簡単です。
DockerはUbuntuの標準リポジトリにも含まれていますが、最新版を使いたい場合はDocker公式リポジトリを追加してインストールするのが基本です。以下では、Ubuntu 22.04 / 24.04 などの一般的なLTSバージョンに対応した方法を紹介します。
古いDocker関連パッケージを削除
すでにDockerをインストールしたことがある場合は、念のため古いバージョンや関連パッケージを削除しておきましょう。初めての方はこの手順はスキップしても問題ありません。
sudo apt remove docker docker-engine docker.io containerd runc
必要なパッケージをインストール
Dockerのリポジトリを使うために必要なツールや証明書をインストールします。これがないと後の手順でエラーになることがあります。
sudo apt update
sudo apt install ca-certificates curl gnupg lsb-release
Docker公式GPGキーを追加
セキュリティ上の理由から、Dockerの公式パッケージが正しく署名されたものであることを確認するために、GPGキーを追加します。
sudo mkdir -p /etc/apt/keyrings
curl -fsSL https://download.docker.com/linux/ubuntu/gpg | sudo gpg --dearmor -o /etc/apt/keyrings/docker.gpg
Dockerのリポジトリを追加
ここでは、UbuntuがDocker公式パッケージを取得できるようにリポジトリ情報を追加します。これで最新版のDockerがインストール可能になります。
echo \
"deb [arch=$(dpkg --print-architecture) signed-by=/etc/apt/keyrings/docker.gpg] \
https://download.docker.com/linux/ubuntu \
$(lsb_release -cs) stable" | \
sudo tee /etc/apt/sources.list.d/docker.list > /dev/null
Dockerをインストール
必要な準備が整ったので、いよいよDocker本体と関連パッケージをインストールします。
sudo apt update
sudo apt install docker-ce docker-ce-cli containerd.io docker-buildx-plugin docker-compose-plugin
Dockerのバージョン確認
docker --version
正常にインストールされていれば、バージョン情報が表示されます。
インストール後に確認すべき基本コマンド
インストール直後に最低限知っておきたいDockerコマンドは、バージョン確認・ステータス確認・ユーザー権限の設定です。
Dockerが正しくインストールされているかを確認し、必要に応じて使いやすく設定しておくことで、今後の操作がスムーズになります。
Dockerのステータス確認
Dockerのデーモン(バックグラウンドで動作するサービス)が正しく動作しているか確認します。
sudo systemctl status docker
sudoなしでdockerコマンドを使えるようにする(任意)
デフォルトでは sudo docker
のように毎回sudoが必要になりますが、以下の設定でユーザー権限でも実行できるようになります。
sudo usermod -aG docker $USER
usermod
の変更を反映するには、一度ログアウトして再度ログインする必要があります。
もし面倒な場合は、以下のコマンドを使うと、即時反映させることもできます。
newgrp docker
Docker Composeのインストールについて
最近のDockerでは、Docker Composeも含まれているため、追加のインストールは不要です。
以下のコマンドでバージョンが表示されれば、使用可能です。
docker compose version
hello-worldで動作確認してみよう
Dockerが正しく動作するか確認するには、公式の hello-world
イメージを使ったテストが手軽で確実です。
Dockerのインストールが完了したら、実際にコンテナを起動できるかどうかを確認しておきましょう。
公式で用意されている hello-world
は、初回起動時に必要な最小限の処理を行い、Dockerの基本機能が動作することを証明してくれるシンプルなイメージです。
実行コマンド
hello-world
は、Dockerが正しく動いているかを手軽に確認できる公式のテスト用イメージです。
docker run hello-world
Dockerで何ができる?今後の活用アイデア
結論:Dockerを使うことで、開発・テスト・サーバー運用など幅広い用途に対応できます。
Dockerは「アプリの実行環境を持ち運べる技術」として、単なるインストールだけでなく、使い方次第で日常の作業効率を大きく変えるツールになります。
たとえば、以下のようなことができます。
- Webアプリを手軽に構築・配布(Node.js、Python、PHPなど)
- DB(MySQL、PostgreSQL、MongoDBなど)を複数同時に起動・テスト
- NginxやApacheを使ってローカルでWebサーバー環境を再現
- JenkinsやGitLab CIなどのCIツールをローカルで立ち上げて試せる
- Redmineのようなプロジェクト管理ツールを気軽に立ち上げられる
- NextcloudやWordPressなど、OSSサービスをすぐに構築して使える
- 作って壊してやり直す。仮想環境より高速&気軽に試せる
まとめ
Dockerを使えば、Ubuntu上に手軽で柔軟な開発・検証環境を構築できます。
本記事では、DockerをUbuntuにインストールする手順から、初期設定、動作確認、よくあるトラブルの対処方法、そして実際にどんな活用ができるかまでを解説しました。
振り返りポイント。
- UbuntuでDockerを使うには、公式リポジトリを使ったインストールが安心
hello-world
コマンドで基本動作をすぐに確認できる- Dockerを使えば、様々なアプリなどの環境を簡単に試せる
初めてDockerに触れる方でも、この記事を参考にすればスムーズに導入できるはずです。
次のステップとして、Composeや複数サービスの連携にも挑戦してみてください。
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