10Gbps LANの速度を測定してみた iperfとファイル転送で実測検証!

目次

はじめに

最近では10Gbpsに対応したルーターやLANカードも手に入りやすくなってきましたが、実際にLAN環境を10Gbps化するとどれくらいの速度が出るのか、気になる方も多いのではないでしょうか?

今回は、有線LANで10Gbps対応機器を揃えた環境を構築し、PC間の通信速度をiperf3と実ファイル転送で検証してみました。
測定結果と、そこから得られた気づきを詳しく紹介していきます!

10Gbps LAN環境の構成を紹介

LAN内での測定に使用した構成は、以下の通りです。

  • メインPC(Windows)
  • サーバー機(Linux)
  • 10Gbps対応ハブ
  • LANケーブル:Cat6A
  • Wi-Fiルーター:10Gbps対応だが今回は未使用(スマホのみ接続)

本記事では、この構成のうちハブ以下の2台のPC間での速度を確認します。Wi-Fiやルーターを介さず、純粋に10G有線LANの性能を計測する構成となっています。

iperf3での通信速度を計測

iperf3 ツールが気になる方は、以下の記事をご覧ください。

iperf3での計測結果

iperf3コマンドで速度を計測します。この計測で分かることは、テストするルートの全機器を含めた実速度です。
今回で言えば PC(Windows) → LANケーブル → ハブ → LANケーブル → PC(Linux)が全機器になりますが、いずれかの機器が遅いと、その遅い機器に合わせた速度が実速度として表示されます。

では、コマンドを入れてみます。

実行したコンソール画面です。素晴らしい結果になりました。爆速です!
通信が遅くなるネックとなるような機器がないことも証明され、優秀な結果です!


実行結果からは以下のことが分かります。

  • 平均ビットレート
    10秒間の送受信を平均して、送信側で9.49Gbps、受信側で9.45Gbpsの通信速度が出てることが分かります。送受信共に安定した高速通信が出来ていると言えます
  • 10Gbpsに近い ほぼ期待値
    10Gbpsという理論上の上限に非常に近い値であり、10Gbpsが出ることは、まずありません。
    一般に9.0Gbpsを超えていれば、10Gbps環境がうまく構築されてるといえるため、ほぼ期待値が出ていると考えて良いでしょう

    ファイル転送速度を計測

    次に、実際にファイルを転送して速度を計測していきます。

    ファイルを転送する場合は、送信側と受信側のディスクドライブのスペックが重要になってきます。使用するディスクドライブと転送するデータを決めてから計測します。

    また、LANまたはディスクドライブのどちらがボトルネックになるかも見えるようにするため、あえて低速なディスクドライブも使用して計測します。

    使用するディスクドライブの構成

    ■ 送信側 (Windows10 デスクトップPC)

    ディスクドライブの種類スペック
    Gen4 NVMe SSD読込 ~5000MB/s

    ■ 受信側 (Linux デスクトップPC)

    ディスクドライブの種類スペック
    Gen4 NVMe SSD書込 ~6700MB/s
    SATA3 SSD書込 ~500MB/s
    SATA3 HDD書込 ~200MB/s

    ※ 通信速度を表す単位について
    LANは「Gbps(ギガビット/秒)」、ストレージ速度は「MB/s(メガバイト/秒)」で表記されているため、単位が異なります
    10Gbps = 約1250MB/s です

    検証方法

    転送に使用するデータです。10GB近い動画ファイルです。

    Windowsのエクスプローラーを経由して、共有フォルダにドラッグ&ドロップします。
    転送バーが表示される速度にて計測します。

    ファイル転送による速度の結果

    大方期待通りの結果となりました。

    先ほどのiperf3コマンドでは、送信側で9.49Gbps、受信側で9.45Gbpsが結果だったので、遅い9.45Gbpsで評価すると、この環境では、転送速度は『約1181 MB/s』が理論値上のMAXです。

    それを踏まえて以下の結果を見てみます。

    転送先ディスクドライブ表示速度平均推定値
    Gen4 NVMe SSD1.04GB/s(1040MB/s)約1000MB/s
    SATA3 SSD455MB/s約450MB/s
    SATA3 HDD163MB/s約170MB/s

    この結果から分かることは以下の通りです。

    • Gen4 NVMe SSD
      転送速度の期待値に近い速度になりました。しかし、このディスクドライブのスペック『書込 ~6700MB/s』から見ると大幅に遅くなっています。つまり、ネットワーク速度がボトルネックとなっており、このディスクドライブはオーバースペックということになります
      それでも速い!
    • SATA3 SSD
      転送速度の期待値と比較して、遅い転送速度になりました。これはディスクドライブがボトルネックとなっており、せっかくの10G環境が活かされていないとも言える結果になります
      体感としては、十分速いという印象です
    • SATA3 HDD
      上記SSD同様。期待値と比較すると20%未満の速度ですから、体感としても大分遅い印象です

    実際のキャプチャ画像

    ■ NVMe

    ■ SSD

    ■ HDD

    まとめ:10Gbps LAN環境でのファイル転送検証を終えて

    今回の検証を通じて、10GbpsのLAN環境における実際のファイル転送速度と、それに影響するディスクドライブ性能について具体的に確認することができました。

    特に分かったことは以下です。

    • LANの実測最大速度は『約1181MB/s』
    • LANの実測を活かせるのはNVMe SSDのみ
    • SATA SSDでは転送速度が頭打ちとなり、10Gbpsの恩恵を完全には受けられない
    • SATA HDDは転送速度がかなり低く、10Gbps環境ではボトルネックになる

    つまり、高速なディスクを用意すれば必ず速くなるわけではなく、ネットワークの上限値に左右されるという、構成全体でバランスを取ることの重要性が浮き彫りになった結果でした。

    つまり、実際のファイル転送では、極端に速いディスクドライブや、10GのLAN環境であっても、どちらかのスペックの上限値に左右されるため、構成全体でバランスを取ることの重要性が浮き彫りになった結果でした。

    感想

    Gen4 NVMeのような超高速ディスクはオーバースペックとなってしまったことは残念でありつつも、1GB/s超の速度でファイルを転送できる快適さは想像以上で、純粋に体感として「速い!」と感じるものでした。

    結果的に、10Gbps環境を整えて本当に良かったと思っています。10Gbps環境オススメです!

    • URLをコピーしました!

    コメント

    コメントする

    CAPTCHA


    目次